このブログは、40代・50代の中年男性が新しいことに挑戦していく記録です。50歳になるにあたり一念発起して行政書士試験に独学で挑み、一発合格しました。そしてその翌年、社会保険労務士(社労士)試験を受けています。
社労士受験編の第2弾となる今回は、なぜ行政書士の次に社労士だったのかを書きます。
正直に打ち明けると、これは自分から言い出したことではありませんでした。
きっかけは「労務に詳しかったら助かる」の一言
ある日、パートナー(妻)からこんなことを言われました。
社労士を取ってくれたら心強い。
労務に詳しかったら助かる。
命令されたわけでも、頼み込まれたわけでもありません。ただ、そう望まれた。キャリアアップのためでも独立のためでもなく、そこが私の社労士試験の出発点でした。
ちなみに行政書士のときは、自分の意志で受けると決めました。そのあたりの経緯は別記事に書いています。
▶ 50代会社員が行政書士試験を受けた理由|独立・開業を視野に入れた決断の話
顧問社労士に感じた「経営者の意向」
なぜパートナーがそう言い出したのか。理由を聞いて、なるほどと思いました。
以前パートナーが勤めていた会社に、顧問社労士の方がいました。決して悪い方ではなかったと思います。ただ、その判断には経営者の意向が強く反映されていると感じる場面があったそうです。
これは、その方を責める話ではありません。会社と顧問契約を結び、経営者から報酬を受け取っている以上、経営側の意向が反映されるのはある意味で自然なことです。社労士は誰の側に立つのか——業界の中でも意見が分かれるところでしょう。
「自分も、そちら側になる」という自覚
ここからが、私がいちばん感心したところです。
パートナーはこれから起業します。つまり、自分自身が経営者の側に立つことになるわけです。
経営者になれば、当然ながら経営の論理で物事を判断するようになります。悪気がなくても、気づかないうちに従業員へ不利な決め方をしてしまうかもしれない。かつて自分が違和感を覚えたのと同じことを、今度は自分がやってしまう可能性がある。
だからパートナーはこう考えたのだそうです。
夫が労務に詳しければ、従業員に不利になりすぎないように、バランスを取れるんじゃないか。
求められていたのは、外部の専門家ではありませんでした。自分にブレーキをかけてくれる存在です。
自分が偏るかもしれないと最初から見込んで、その歯止めをあらかじめ用意しておく。経営者になる前からそう考えられる人だったことに、私は素直に感心しました。それなら引き受けようと思ったのです。
会社を作ったら、何が必要になるのか
そこで社労士の業務について調べ始めました。そして、自分が何も知らないことに愕然としたのです。
- 人を雇うなら労災保険が必要になる
- 雇用保険の手続きも当然ついてくる
- 会社を作ったら健康保険や厚生年金はどうなるのか
並べてみれば、どれも会社を運営するうえで避けて通れないものばかりです。それなのに私は、そのどれについてもほとんど何も説明できませんでした。
総務部の人たちに、改めて感謝した
なぜ知らなかったのか。理由ははっきりしています。私は出来上がった会社でしか働いたことがなかったからです。
研究員として入社し、その後は営業へ。比較的大きな会社に勤めているので、入社の手続きも、保険証の発行も、年末調整も、誰かがやってくれるのが当たり前でした。総務部の人たちが全部整えてくれていたのです。
会社員として20年以上働いてきて、その仕組みを一度も自分で考えたことがなかった。これは大きな会社にいられたおかげでもあります。調べれば調べるほど、当時の総務部の方々に改めて感謝したくなりました。
そして同時に、こう思ったのです。これ、自分で調べてみたい。どうせ調べるなら、体系的にやりたい。それなら——受験してしまえばいい。
本当は、もっと慎重になるはずだった
ここで、正直な話をしておきます。
行政書士試験の勉強には、かなりの時間を使いました。ゴールデンウィークも夏休みも、まるごと勉強に充てています。50代の中年男性にとって、自由に使える時間はもう無限にはありません。残り時間をどう使うかは、若い頃よりずっと重い選択になります。
だから私は、次に資格試験へ挑むときは慎重に選ぼうと考えていました。時間という有限な資源を投じるのだから、当然です。
それなのに、結局そこまで慎重には考えませんでした。パートナーに押されるかたちで、思い切ってスタートを切ってしまったのです。慎重にと決めていたはずの人間が、あっさり同じことを繰り返している。われながら、少しおかしくなります。
ただ、いま振り返ると、この「思い切り」がなければ始まらなかったのも確かです。慎重に考え抜いていたら、合格率の低さを見た時点でやめていたかもしれません。
自信がなかったから、59,939円を払った
とはいえ、不安はありました。調べるうちに、社労士試験の合格率が行政書士試験よりさらに低いことを知ったからです。やり切れるかどうか、自信のないままのスタートでした。
そこで今回は、行政書士のときとは方針を変えました。完全独学をやめたのです。
選んだのはTACの独学道場。独学とオンライン講座の中間のような教材で、追加で買った問題集を含めて59,939円かかりました。行政書士のときが独学で総額約7万円だったので、金額としては近い水準です。
▶ 行政書士を独学で受けると費用はいくら?初学者が実際にかけた教材費を全公開【総額約7万円】
これは、途中でリタイヤしないための手でした。ひとりで教材だけ買っても、自信がない状態では続かない気がした。お金を払って講座という枠に自分を入れてしまえば、簡単には投げ出せません。
面白いもので、これは行政書士のときの失敗と対になっています。あのとき私は「受験は一回きり」と決めて精神的に退路を断ち、その結果8月に心が折れかけました。今回やったのは、精神で自分を追い込むことではなく、仕組みで続けられるようにすることです。同じ「退路を断つ」でも、効き方がまるで違いました。
▶ 行政書士試験の8月に心が折れかけた話|50代独学者を救った娘の一言
まとめ:頼まれて始めた9ヶ月だった
- きっかけはパートナーの「社労士を取ってくれたら心強い」「労務に詳しかったら助かる」という言葉
- 背景には、顧問社労士の判断に経営者の意向が強く反映されていたという経験があった
- パートナー自身が経営者になる。自分が偏らないよう、夫にバランス役を求めた
- 調べてみると、労災保険も雇用保険も社会保険も、自分は何も知らなかった
- 出来上がった会社でしか働いたことがなかったから。総務部の方々に改めて感謝した
- 残り時間が有限だから慎重に選ぶはずが、結局は思い切ってスタートした
- 自信がないぶん、TAC独学道場に59,939円を払って「リタイヤしない仕組み」を作った
自分の野心から始まった挑戦ではありません。それでも9ヶ月、毎朝5時に机に向かい続けました。誰かのために取る資格というのも、悪くないものです。
第3弾では、TAC独学道場を選ぶまでにアガルートと本気で悩んだ講座選びの話を書きました。第4弾では、その9ヶ月をどう戦ったのかを書いています。TAC独学道場を実際に使ってみてどうだったのか、行政書士の勉強法と何が同じで何が違ったのか。そして結果は、第5弾の結果編に書いています。
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