50歳になるにあたり、現状から抜け出すために一念発起して、行政書士試験に独学・初学者で挑み、一発合格した中年男性の筆者です。いま、独学で行政書士試験に挑戦している、みなさんのお役に立てればうれしいです。
前回は、私が一番迷走した民法について書きました。範囲が膨大で暗記の沼にハマりやすい民法とは対照的に、憲法は「理解で攻める」ことで時間をかけずに得点源にできた科目でした。
今回は、私が憲法で「判例を結論だけ覚える勉強」から「判決に至る方向性を理解する勉強」へ切り替えたことで、未知の判例にも対応できるようになった話を書きます。結果として、本番では憲法の5肢択一を5問中4問正解。あまり時間をかけなかったわりに、しっかり得点できました。
最初は点が伸びなかった——判例を「結論」でしか覚えていなかった
憲法を勉強し始めた初期、私は判例について「何が問題になっているか」と「結論(合憲か違憲か)」だけを覚えていました。ところが、これではなかなか点が伸びません。
理由は単純で、判旨(判決の理由づけ)を理解できていなかったからです。結論を丸暗記しているだけだと、選択肢の言い回しが少し変わったり、知らない判例が出たりした瞬間に対応できなくなります。憲法の判例は数が多く、結論の暗記だけで押し切るのは無理がありました。
判例を「判決に至る方向性」で理解する勉強に切り替えた
そこで私は、勉強のやり方を変えました。結論を覚えるのではなく、「なぜその判決に至ったのか」という方向性・筋道を理解することを意識したのです。
判例を読むときも、「この事案では、どんな価値や利益がぶつかっていて、裁判所はどちらをどういう理由で重く見たのか」という流れを追うようにしました。結論はあくまでその筋道の結果であって、覚えるべきは結論そのものではなく、そこに至る考え方だと気づいたのです。
気づき——判例は無限でも、論点ごとに「方向性」は決まっている
この勉強を続けるうちに、あることに気づきました。判例は数こそ無限にあるように見えますが、多くの判例が、過去の類似した判例を引用して判断しているのです。
つまり、「こういう論点では、こういう方向性で判決が出る」というパターンが存在する。一つひとつをバラバラに暗記するのではなく、論点ごとの判断の方向性さえ押さえてしまえば、個々の判例はその応用として理解できるようになります。ここから一気に、憲法の判例が「点」ではなく「線」でつながって見えてきました。
イメージは「AIの言語ベクトル」——幹を押さえれば枝葉が読める
この感覚を、私はよくAIの「言語ベクトル」のイメージに近いと感じていました。
AIは、言葉そのものを丸暗記しているのではなく、言葉同士の関係性や方向性を空間的に捉えて、未知の文脈にも対応します。憲法の判例も同じで、幹となる「判断の方向性」を押さえてしまえば、枝葉にあたる個々の判例がどう伸びていくかが自然と読めるようになる。幹がしっかりしていれば、枝葉は無限に増えても怖くありません。
民法で「確実に取れる範囲を少しずつ広げる」発想にたどり着いたのと同じように、憲法では「幹を押さえて枝葉を読む」という発想が、私の勉強の軸になりました。
▶ 行政書士の民法で迷走した話|9問中4問から7問に伸ばした「範囲を絞る」独学法
未知の判例も「類推」で解けるようになった
幹となる方向性が見えてくると、本試験や模試で見たことのない判例が出ても、慌てなくなりました。
「この論点なら、これまでの判例はこういう方向で判断してきたから、おそらくこういう結論になるはずだ」と類推できるからです。実際、未知の判例こそ、この方向性の理解で着実に正解を拾えるようになりました。丸暗記では絶対に太刀打ちできなかった問題が、理解の力で解けるようになったのです。
基本暗記は最小限、判例中心で時間対効果を上げる
正直に言うと、私は基本的な暗記事項(条文の細かい数字など)は少し苦手でした。基礎法学も本番では2問中1問にとどまっています。
ただ、憲法は配点がそれほど大きくないので、ここに時間をかけすぎるのは得策ではありません。私は基本事項を一通り覚えたら、あとは判例中心に切り替えました。特に意識したのは、判断のパターンが異なる判例(宗教関係の事案など)をしっかり押さえること。方向性のバリエーションを増やすことで、対応できる範囲を効率よく広げていきました。
限られた時間をどの科目にどう配分するかは、合否を大きく左右します。科目ごとの時間配分や全体スケジュールについては、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 行政書士を独学9ヶ月で合格したスケジュール全公開|GWが合否を分けた50代社会人の体験談
結果——憲法は5問中4問(時間をかけず実力相応以上)
こうして判例を方向性で理解する勉強に切り替えた結果、本番では憲法の5肢択一を5問中4問正解できました。模試でも終盤は4/5前後で安定しており、実力相応かそれ以上の手応えでした。
憲法にかけた勉強時間は決して多くありません。それでもこれだけ取れたのは、「理解で攻める」アプローチが憲法という科目と相性が良かったからだと思います。時間対効果という意味では、憲法は非常にコスパの良い科目です。
本番の得点内訳や自己採点の結果は、こちらの記事にまとめています。
▶ 「ベンチマーク」の真の意味を知らないと損!行政書士LECの模試パック7回完全活用法
どうしても判例の理解が進まないときは
とはいえ、「判例を方向性で理解する」という感覚は、独学だと最初のとっかかりがつかみにくいかもしれません。私自身、ここに気づくまでにずいぶん遠回りをしました。
もし判例の読み方そのものでつまずいているなら、プロの講義で一度”幹”を整理してもらうのが近道です。アガルートは科目・分野単位で受講できる単科講座があり、独学のベースは保ちつつ、憲法の判例だけプロの解説で補強するといった使い方ができます。費用を抑えて弱点をピンポイントで潰したい独学者に向いています。
また、「いきなり有料講座はハードルが高い」という方には、資格スクエアもおすすめです。資格スクエアは一部の講義を無料で視聴できるので、お金をかけずに「プロの判例解説ってこんなに違うのか」という感覚をまず体験できます。特に森T(森広志)講師の講義は、初学者にも噛み砕いた説明で定評があります。まずは無料分だけでも見て、自分に合うか確かめてみてください。
まとめ:憲法は「結論の暗記」ではなく「方向性の理解」で攻める
憲法で点が伸び悩んでいた私を救ったのは、発想の転換でした。
- 判例は「結論」ではなく「判決に至る方向性」で理解する
- 論点ごとの方向性を押さえれば、未知の判例も類推で解ける
- 幹(方向性)を押さえれば、枝葉(個々の判例)は自然に読める
- 基本暗記は最小限に、判例中心で時間対効果を上げる
暗記の沼にハマりやすい民法とは対照的に、憲法は理解で攻めれば時間をかけずに得点源にできる科目です。判例を結論で丸暗記して伸び悩んでいる方は、ぜひ「方向性で理解する」ことを試してみてください。
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