50歳になるにあたり、現状から抜け出すために一念発起して、行政書士試験に独学・初学者で挑み、一発合格した中年男性の筆者です。
「一発合格」と書くと、順調に走り抜けたように聞こえるかもしれません。でも実際は違いました。ちょうど今ごろ——8月の下旬に、私は心が折れかけていました。勉強が手につかないほど気持ちが滅入り、正直に言えば「病み落ち」の一歩手前まで行っていたと思います。
今回は、あのとき自分に何が起きていたのか、そしてどうやって立ち直ったのかを正直に書きます。私を引き戻してくれたのは、参考書でも勉強法でもなく、娘の何気ない一言でした。
もし今、同じように8月の重さに押しつぶされそうになっている方がいたら、少しでも肩の力が抜けたらうれしいです。
8月に襲ってきたのは「手応え」と「不安」の共存
8月にもなると、独学でもテキストと過去問を何周かできて、模試もいくつか受けている頃だと思います。私もそうでした。
やってきたことは確かに積み上がっていて、「ここは取れる」という手応えは確実にありました。その一方で、「ここはまだ完全に覚えられていない」という穴も、同じくらいはっきり見えている。これが不安です。
この2つが同時に存在すると、何が起きるか。「とにかくひたすら勉強しなきゃ」という強迫観念に駆られるようになるのです。
手応えがあるからこそ、積み上げたものを落としたくない。穴が見えているからこそ、本番までに埋めなければ間に合わない。焦りが次の焦りを呼んで、休むことにさえ罪悪感を覚えるようになりました。
いま振り返って思うのは、この焦りは「ちゃんと積み上げてきた人」にしか訪れないということです。何もやっていなければ、そもそも焦りようがありません。当時の私はそのことに気づく余裕がなく、ただ自分を追い立てていました。
「受験は一回きり」と決めたことが、さらに自分を追い詰めた
もうひとつ、自分で自分の首を絞めていたことがあります。「受験は一回きり」と決めていたことです。
理由は単純で、私はもう若くないからです。50歳を超えてから何年もかけて資格試験に挑み続けるのは現実的ではないと考え、「今年で決める。ダメならもう受けない」と、最初から退路を断っていました。
退路を断つのは、一見すると強い覚悟のように思えます。でも実際には、断ったぶんのプレッシャーが、そっくりそのまま自分に跳ね返ってきました。
合格点に至らなかったらどうしよう。
そうなったら、ここまで勉強してきたことが、全く意味をなさないじゃないか。
こういう考えが頭から離れなくなりました。9ヶ月かけて積み上げてきたものが、たった1日の試験結果ですべて無に帰す——そう考えると、机に向かうこと自体が怖くなってきます。
だんだんと心が落ち込み、気持ちが滅入っていきました。ちょうど、8月の下旬のことです。
救ってくれたのは、娘の何気ない一言だった
そんなある日、家族と話しているときに、私は何気なくこう口にしました。
「受験は1回きりでいく。ダメだったら、もう受けない」
覚悟を宣言したつもりでした。ところが、娘から返ってきたのは、まったく想定していない言葉でした。
「えっ、そうなんや。もったいない。せっかく毎日やっているのに…」
一瞬、意味がのみこめませんでした。
娘は、私が毎朝5時ごろから勉強していることを知っていました。休日も一日中机に向かっているのを、そばで見ていたのです。私は自分では「誰に言うでもなく、黙々とやっている」つもりでしたが、家族にはちゃんと見えていた。
そして娘からすれば、たった1回失敗しただけで、そこまでの努力を全部捨ててしまうのはもったいない——ただそれだけのことだったのです。
合否や損得の話ではなく、「毎日やってきたこと」そのものを娘は見ていた。その視点は、当時の私には完全に抜け落ちていたものでした。
「一回きり」をやめたら、勉強のペースが戻ってきた
この一言で、私の中の何かがほどけました。
そこまで自分を追い込んで資格試験を受ける必要はない。そう考えを改めたのです。
「一回しか受けない」という縛りをやめて、「ダメだったら、そのときにその後のことを考えよう」に切り替えました。たったこれだけです。勉強法を変えたわけでも、教材を買い足したわけでもありません。
でも、驚くほど気が楽になりました。
試験が「人生を決める一発勝負」から「今年やるべきことをやりきる場」に変わったのだと思います。そうすると不思議なもので、勉強のペースが戻ってきました。焦って闇雲に手を広げることがなくなり、目の前の一問に集中できるようになったのです。
そして結果的に、私はその年に一発合格することができました。自分を追い込むのをやめたほうが、結果はついてきた——これが偽らざる実感です。
▶ 行政書士に独学・一発合格!50代法律初学者の得点内訳と合格までの全記録
いま8月で心が折れかけている人へ、3つだけ
あのときの自分に言ってやりたいことを、3つにまとめます。
① その焦りは、積み上げてきた人にしか来ない
8月に焦るのは、テキストを何周かして、模試を受けて、自分の穴が見えるところまで来たからです。焦りは、進んだ証拠でもあります。何も見えていない人は、焦ることすらできません。
② 退路を断つことが、常に正しいわけではない
「今年で決める」という覚悟は、力になることもあれば、重すぎる枷になることもあります。私の場合は完全に後者でした。覚悟が自分を潰し始めたら、いったん下ろしていい。逃げではなく、走り続けるための調整です。
③ 努力は、不合格でも消えない
「落ちたら全部が無駄になる」と私は思い込んでいました。でも娘に言われて気づいたのは、毎朝5時に起きて机に向かった日々そのものは、結果に関係なく残るということです。身についた知識も、続けられたという事実も、勝手に消えたりはしません。
独学の孤独を、ひとりで抱えないために
私の場合は家族の一言に救われましたが、独学のいちばんつらいところは「相談できる相手がいない」ことだと思います。周りに同じ試験を受けている人がいないと、自分の位置も、この不安が普通のことなのかも分からないまま、ひとりで抱え込むことになります。
もし今その孤独が重いなら、通信講座を「教材」ではなく「伴走者」として使うのも一つの手です。講師が「この時期はみんな不安になります」と一言触れてくれるだけで、ずいぶん楽になることがあります。
アガルートは科目・分野単位で受講できる単科講座があるので、独学のベースは保ちつつ、苦手科目だけプロの解説で補強するという使い方ができます。費用を抑えて弱点をピンポイントで潰したい独学者に向いています。
また、「いきなり有料講座はハードルが高い」という方には資格スクエアもおすすめです。一部の講義を無料で視聴できるので、お金をかけずに「プロの解説はこんなに違うのか」という感覚をまず体験できます。森T(森広志)講師の講義は、初学者にも噛み砕いた説明で定評があります。
まとめ:追い込むのをやめたら、合格が近づいた
- 8月は「手応え」と「不安」が共存し、ひたすら勉強しなきゃという強迫観念に駆られやすい時期
- 「受験は一回きり」と退路を断ったことが、かえって自分を追い詰めた
- 娘の「もったいない。せっかく毎日やっているのに」の一言で、努力そのものの価値に気づけた
- 「ダメならそのとき考える」に切り替えたら気が楽になり、勉強のペースが戻って結果的に一発合格できた
本試験まで、まだ2ヶ月以上あります。いま心が重い人は、勉強法を変える前に、自分にかけている縛りを一つ外してみてください。私はそれで戻ってこられました。
あなたが毎日机に向かってきたことは、誰かがちゃんと見ています。そして何より、その事実は試験の結果とは関係なく、あなたに残ります。
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