はじめに
皆さんこんにちは!以前の記事で、学生時代の投稿論文がアクセプトされるまでの経過やそのときの心情をお届けしましたが、今回は会社に入って投稿論文を書いたときの経過や対応状況、落ち込んだり、立ち直ったり、心境の変化についてお届けいたします。立場は学生時代とは異なりますが、論文がアクセプトされるまでの反省点、学びには多くの共通点がありますので、企業の研究員として働いている方だけでなく、投稿論文を書く学生さんにも役に立てばと思います。
なぜ、会社から評価されない投稿論文を書いたのか?
そもそも、私が働いているくらいの小さな会社では投稿論文を何報出そうが全く評価されることはありません。むしろ、無駄な時間を使ってという嫌味を言われるぐらいです。
動機①:海外(特に新興国)の市場開拓に役に立つ
ある市場調査では、新興国のお客さんの上層部は、学術論文をよく読んでいて、影響度が強いとの報告がありました。今後、新興国市場開拓に役に立つかもしれないということは認識しつつも、社内に投稿論文を書いた経験がある人がほとんどいないため、内容自体は無視されていました。そこで、真偽のほどは定かではありませんが、実際に学術論文を出してみて効果をみてみたいと思いました。
動機②:将来みんな(含む自分)の役に立つ
査読付きの論文については、学位を持っていない共著者が取得のために使うことが出来たり、国内外の研究職への転職時に履歴として示すことが出来たり、社外での活動では役に立つため。
最近、私の視野には転職が入ってきておりますので、自分で書いた投稿論文は研究職を得るのには役に立つ可能性があります。
社会人時代1報目
1報目1stトライ
論文の初稿は、共著者にメインで書いてもらいました。
まず、雑誌のレベルMaxのところに投稿しました。今の時代、電子投稿で雑誌ごとにログインアカウントを作って、投稿するといった感じです。しかし、投稿してから2日と経たずに「リジェクト」の連絡。とにかく、連絡が早く落ち込むこともありませんでした。
実は、共著者の知り合いが日本人エディターでいるから、そちらに回れば大丈夫だと思って出したのですが、別のエディターに回り、一発エディター判断で撃沈されました。度のエディターが担当になるかはわからないので、その点は学びになりました。
1報目2ndトライ
その後、エディターから指摘されたポイントを修正し、別の出版社のレベルの高い雑誌に投稿。この間、念のため文書を書き直し、このあたりから私が修正で書くに様になりました。この修正に2週間ぐらい。
しかし、結果はエディター判断で一発「リジェクト」。ここで気になったのはカバーレターの書き方の問題。うまく内容を表現できていなかったので、エディター判断で質が低いと判断された可能性もあります。この点は反省点です。
1報目3rdトライ
気を取り直して、論文のトピックをより明確にして再度、別の同じくらいのレベルの雑誌に投稿。ここで、ようやくエディターからレフリー(査読者)に回りました。このときは一安心していましたが、約1か月後、帰ってきた結果はリジェクトでした。三人中二人はメジャーリビジョンの感じのコメントでしたが、一人が完全にリジェクトの姿勢で、結果がリジェクト。
このリジェクトしたレフリーのコメントが全く本文を読んでいない内容だったので、今回推薦したレフリーが悪かったので、他を探そう!ということになりました。この点は、反省点です。さすがに少し落ち込みました。
ただ、論文の構成が悪かったため、内容が上手く伝わらず、リジェクトに至った可能性もありますので、『原因自分論』で、論文の構成自体を私の方で大幅に改定することとなりました。
1報目4thトライ
4回目の投稿に向け、論文の修正に約2週間かかり、もはや、初稿からは大幅に修正されています。ここで、本格的に論文を書くという、20年以上ぶりのハードワークを敢行する羽目になりました。
内容の修正に加えて、雑誌社を変えたり、雑誌を変えると、リファレンス(引用文献)リストの書式変更が生じたり、若干のフォームの変更などもあり、少し手間がかかってきます。その作業を一人でやっていて、学生時代のつらかった気持ちが若干フラッシュバック。
雑誌のレベルを少し落として、再チャレンジ。エディターのチェックを経てレフリーへ。その後、3週間後帰ってきたのは「メジャーリビジョン」結構な数のコメントがありましたが、丁寧にコメントに対応し、修正版を再投稿。その後、約2週間でアクセプトの連絡がありました。
以上のような流れで、社会人になって20年ぶりくらいに書いた論文がアクセプトされました。
結果としては、4誌目でようやくアクセプトで、20年ぶりに書いた論文が掲載されることとなりました。レベルが高い雑誌への掲載を目指したため、リジェクト率:75%という結果です。
ただ、せっかく時間の制約のない(会社からも出すように指示されていない)状況で論文投稿できるので、なるべくレベルの高い雑誌への掲載を目指しました。結果としては、十分な成果だったと思いますし、ある程度時間をかけて取り組めるのが社会人の強みだということも学びでした。会社員である私は、論文がリジェクトされても給料が減ることはありませんので、学位取得が出来なくなる学生時代とは精神的な余裕が大きく異なります。
1報目投稿の反省点
- カバーレターを上手く書く
- 推薦する査読者は慎重に選ぶべき
といったところです。
査読者については、初期のころは知り合いの先生などを選んでいましたが、アクセプトされた雑誌では中国人研究者にしました。そこで、気付いたのですが日本人の先生はコメントが厳しく、中国人研究者は寛容という印象を受けました。もちろん研究分野によっても異なると思いますので、査読者の推薦の際はORCIDの研究者のデータの中に査読情報があると思いますので、そこで確認するのがいいと思います。私のところは4回のレビューで2件掲載されていると書かれています。
1報目の投稿での学び
- エディターが誰になるかは事前にはわからない
- 時間に制約がない場合、レベルの高い雑誌から攻められる
といったところです。
二つ目は学生さんにとっては使えず、対照的です。
社会人時代2報目
2報目1stトライ
2報目は論文構成のプロットから私が考えて書きました。書くのに要した期間は約1.5か月。通常業務の合間に書いたので、比較的早く書けたとは思います。
早く論文を書けるようになった理由は、間違えなく「グーグル翻訳」。本当に優秀です。有効活用できるとかなり時短になります。
そして、今回も一番レベルの高い雑誌に挑みました。エディターのチェックで約1週間。これは、レフリーに回るのではと期待していたら、エディターから連絡が入り、「リジェクト」。しかし、このエディター論文をしっかり読み興味を持ったようで、「こんな実験結果もあれば面白いよ」「こういう比較には興味がある」といった前向きなコメントと、この内容ならこっちの雑誌の方がいいよと推薦してくれました。
2報目2ndトライ
同じ出版社の雑誌をエディターが推薦した場合、再投稿の際にエディター判断でリジェクトされにくくなるということもあり、その推薦に従い、そのまま投稿。エディターからレフリーに回り、約1.5か月後に帰ってきたのは「メジャーリビジョン」。結構コメントが厳しくて、一人のレフリーはリジェクトみたいな感じでしたが首の皮一枚で残りました。
その後、それぞれのコメントに対して丁寧に修正。ここで、約2週間程度。再投稿しました。そこから、また、査読期間が約1か月。ここはかなり待たされた印象です。精神的にはここが一番きつかったです。もし、リジェクトされれば、また、振出しに戻ってしまいますので、心がザワザワする状態が続きます。もう、毎日ログインしてステータスを確認するくらいです。結果はメールですぐに来ますけどね。そして、待ちに待ってきた結果は「マイナーリビジョン」。軽微な修正のみでしたので、丁寧に修正を加え、再投稿。この間、約1週間程度でした。
そして、投稿後数日で、「アクセプト」の連絡がありました。「マイナーリビジョン」の場合、レフリーがここを直せば掲載可だよと言っているわけですので、もう、レフリーに回らずにエディターが判断します。ですので、比較的早く結果が戻ってきます。
というわけで、2報目も無事、アクセプト。2報目はリジェクト率:50%です。1報目での反省点や学びを上手く活用できたと考えています。
ちなみに、この2報目に出した雑誌は、私が学生時代に書いた2報目を最初に出して「リジェクト」された雑誌。というわけで、学生時代の雪辱を果たしたことにもなります。この結果から、自身の成長を感じることが出来、研究者として論文を書く能力に自信を持つことが出来ました。
論文作成時に使ってよかったもの
この論文作成のほとんどは業務時間外に家で書いており、作業は深夜に及ぶこともありました。
深夜まで頑張るために、私にはこんなアイテムが役に立ちました。
先ずは、栄養ドリンク。カフェインを摂取し、気合で書き続けました。普段は全く栄養ドリンクを飲まないのですが、好きなのは有名どころではなく、比較的マイナーな「HORIXER」です。ホリエモンさんが監修です。
もし、深夜に作業が及びそうでしたら、以下の広告リンクからお試しください。
もう一つは、マッサージガン。論文作成時は集中するため、長時間同じ姿勢で作業しますので、肩や首が凝ります。そんな凝りをほぐしてくれるのがこの商品。私は首がよく凝りますので、特に重宝していました。作業後、いったんマッサージしてから寝るという感じです。
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まとめ
学生時代と社会人時代で、論文の投稿形式など大きく変化していました。しかし、論文審査の本質は、投稿ごとに反省、学びを得ながら、アクセプトを手繰り寄せるということはほとんど変わっていないと考えます。
しかし、学生時代と社会人時代では精神的な余裕がかなり異なります。学生時代論文が「リジェクト」になっても、指導教官の先生はそこまで落ち込まないのは、立場の違いですよね。
論文投稿がアクセプトされるために得た学び
- エディターが誰になるか?は投稿後に決まる
- トピックがわかりやすくカバーレターを書く
- 近くの知り合いの先生より、遠くの同じ分野の研究者の方が優しい、ORCIDをチェックは重要
1報目と2報目ではアクセプトまでのプロセスもだいぶ短縮できており、論文投稿のレベルが経験を経て上がったのだと感じています。この学び自体は、時間の制約がある学生さんにも有用だと考えます。
論文がアクセプトされるためには、アクセプトを信じてとにかく強い心で、真摯に査読者の意見を取り入れながら投稿していくことが大切です。みなさんがんばりましょう!!
最後まで、お読みいただきありがとうございます。この記事が役に立ったと思った方はコメントやシェアをお願いします!
また、元研究者の叫びについても、お届けしたいと思います。お楽しみに!